
「表計算ソフトといえばExcel」というイメージが強いですが、最近では「Googleスプレッドシート」を使っている方も増えてきました。
どちらもデータを整理したり、計算したり、グラフを作ったりと、できることはよく似ています。
でも実は、それぞれ得意なことや苦手なことが全く違います。
結論から、私の考えを述べます。
データ容量が大きくなければスプレッドシートで問題ありません。
表計算ソフトはどんなときに使っている?
そもそも中小企業が表計算ツールを使うのは、どういったケースでしょうか?
・売上・仕入管理
・経費精算
・請求書・見積書作成
・従業員名簿
・勤怠管理
・在庫管理
などなど・・・
会社の規模が大きくなってくると、
売上管理はfreee会計や弥生会計といった、売上管理に特化した会計ソフトを導入する必要が出てきます。
これは、仕入先や商品点数が多くなったり、処理の回数が多くなると、
最適化されていない表計算ソフトでは対応しきれなくなるケースがあるためです。
コスト面で比較してみよう
会計ソフトや、エクセルのような有料表計算ソフトは、
業務遂行に必要な要件を満たし、実際に会計業務を行うユーザーが使いやすいのがいいですよね。
要件を満たし、コスト面の折り合いが付けられればエクセルの導入でもOKと思います。
以下、コストにフォーカスした比較表を作ってみました。
| エクセル 買い切り版 (永続ライセンス) | エクセル 月額版 (サブスクリプション) | Google スプレッドシート | |
| 製品名例 | Excel 2024 | Microsoft 365 | Google スプレッドシート (Google Workspace) |
| — | — | — | — |
| 初期費用 | 約 20,000円 ~ | 0円 | 0円 |
| 利用料金 (個人向け) | 購入時のみ (上記初期費用) | 月額:1,490円 (Microsoft 365 Personal) | 無料 (個人向けGoogleアカウント) |
| 利用料金 (法人向け) | 購入時のみ (1ユーザーあたり) | 月額:約900円~/ユーザー (Microsoft 365 Business Basic) ※デスクトップアプリ版含むプランは月額約1,874円~ | 無料版あり 有料版:月額 約880円~/ユーザー (Google Workspace Business Starter) |
| 主な特徴 | ・一度支払えば追加費用なし ・ネット接続なしで利用可 ・メジャーアップデートは不可 ・サポート期限あり | ・常に最新バージョンが利用可能 ・OneDrive(1TB)が付属 ・複数デバイスで利用可 ・継続的な支払いが必要 | ・共同編集機能が非常に強力 ・Webブラウザで手軽に利用 ・自動保存と変更履歴管理 ・法人向けは管理機能が充実 |
| 更新・ アップデート | 機能追加の更新はなし (セキュリティ更新は提供) | 料金内で常に最新機能へ 自動アップデート | 料金内で常に最新機能へ 自動アップデート |
| 支払総額の 目安 (3年間) | 約 20,000円 (初期費用のみ) | 約 32,400円~ (Business Basicプランの場合) | 約 31,680円~ (Business Starterプランの場合) |
| おすすめの ユーザー | ・とにかく月額費用を払いたくない ・機能は古くても構わない ・長期間(4年以上)使うことが確定している | ・常に最新の機能を使いたい ・クラウドストレージも活用したい ・複数PCやスマホ/タブレットで使いたい | ・コストを最優先したい ・チームでの同時編集が必須 ・外出先からのアクセスが多い |
エクセルは基本有料、スプレッドシートも基本無料です、
これが大きな違いでしょう。
とはいえ、やや差があるだけでできることはほとんど一緒です。
次章で解説します。
エクセルとスプレッドシートの得意・不得意
エクセルとスプレッドシートの得意・不得意を表にまとめました。
| 列 1 | Microsoft Excel | Googleスプレッドシート |
| 得意なこと | 🥇 大量データの高速処理・複雑な分析 🥇 高度なグラフ作成・細かい書式設定 🥇 マクロ(VBA)を使った業務の自動化 🥇 オフラインでの安定した作業 | 🥇 リアルタイムでの同時編集・共同作業 🥇 手軽な共有とバージョン管理 🥇 場所を選ばないマルチデバイスでの利用 🥇 他のGoogleサービスとの連携 |
| 不得意なこと | 🥈 複数人での同時編集・共有 🥈 バージョン管理(「最新版はどれ?」問題) 🥈 スマホやタブレットでの操作 | 🥈 数万行を超える大量データの処理 🥈 複雑な計算や分析 🥈 グラフの細かいカスタマイズ 🥈 オフラインでの利用(設定が必要) |
エクセルは基本、PCにインストールして使用するソフトで、
スプレッドシートはブラウザ上で動くSaaS(Software as a Service)といった違いがあります。
スプレッドシートは、データの追加や数式の再計算、グラフの更新などを、基本的にユーザーのブラウザ上で実行します。
- ブラウザの制約: ブラウザは、Webページをスムーズに表示するために設計されており、大規模なデータ処理や複雑な計算を効率的に行うようには作られていません。そのため、大量のセルや複雑な数式が入力されると、ブラウザのメモリ使用量が増加し、動作が遅くなったり、フリーズしたりすることがあります。
- PCの性能: ブラウザ上での処理は、PCのCPUやメモリに直接影響されます。性能の低いPCでは、さらに動作が重くなりやすいです。
大学の研究室で何十万行ものデータを、すべてのセルに数式を入れ込んで計算したことがありますが、時間はかかったにせよ処理自体は完了しました。
似たような処理をスプレッドシートで行ったところ、処理自体が完了せず、ブラウザを立ち上げ直す事態になりました。
中小規模の事務作業程度の処理負荷では、スプレッドシートでも十分です。
マクロはどうなるの?
エクセルのマクロ機能(VBA)を使用している方の中には、
「スプレッドシートに切り替えたらマクロは使えなくなるのか?」
と感じる方がいるかもしれません。
スプレッドシートはGoogle Apps Script (GAS)というJavaScriptベースの言語でマクロを扱います。
エクセルはVBA(Visual Basic for Applications)という言語のため、互換性がありません。
そのため既にVBAで何かしらの作業をされている場合、GAS用のスクリプトを作る必要があります。
ChatGPTのようなLLMに、VBAコードをGASで動作するようにコードの変更を依頼するのがいいと思います。AIの得意分野の一つなので、活用しましょう!
会計業務で困ったときは
ここまでエクセルとスプレッドシートの違いを説明してきました。
経理や会計の作業は、多岐にわたり、多くの手間と時間を要します。特に、大量のデータを手入力し、計算を行う作業は、非効率的であり、ヒューマンエラーのリスクも伴います。
もしあなたが日々の会計業務に非生産的な時間を費やしていると感じているなら、その業務フローを見直す時期かもしれません。
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